日本人のお金に関する間違った考え方とは? 金融教育の必要性や米国との違い

日本人は正しい金融知識を持っていないために、お金に対して「汚い」という感覚を持っている傾向にあります。お金がないという話はよく耳にしますが、運用でうまくいっているという話はあまり聞かない、言えないのではないでしょうか。どうしても儲け話はいやらしく思われがちなんです。

今回は、日本と欧米の金融についての考え方や教育の違いを見ていきましょう。ぜひ、自分に合った選択ができますように!

日本人のお金の考え方

まず始めに子どもの頃を思い返してみて下さい、お金にまつわる授業を受けたことありますか?おそらく、ほとんど無かったのではないでしょうか。ここ最近やっとお金の授業が始まりつつありますが、まだ普及していないのが現実です。以前、小学校に出向いて親御さん向けのお小遣い教室を開催したときに、すごい基礎的なところで、「あ〜、そうなんですね!」となってしまうくらい親世代はお金に関する知識が不足しています。

金融教育を受けてない私たちは、お金の扱い方が分からないんですよね。改めてどう使うべきなのかは、自分たちで積極的に情報を取りに行って勉強するしかありません。しかし、残念ながら一般的に聞く情報が正しくないケースも多いんです。さらに、お金について学んでいない人ほど「投資=悪、危険」という発想を持ってしまいがちです。

欧米のお金に対する考え方

アメリカでは積極的に金融教育が行われており、高校生が学んでいる金融にまつわる教科書を日本の大人が読むと、かなり勉強になるほど詳しく書かれています。アメリカのレベルが高いというよりは、本来知っておくべき知識を日本人が知らないというのが問題で、教える立場の大人に知識がないため子どもに伝えることができず、「知らない」が連鎖してる状態です。

アメリカで金融教育が行われているのは、それだけ増やす必要があるという国だからです。日本と違い公的な年金制度がなく、自分で老後の貯蓄をしていかなければなりません。そのため、多くの若者は社会に出ると同時に自分の老後に向けた貯蓄を始め、それを運用しながら貯めていく方法が一般的なのです。

アメリカと日本では制度が違うため、教育されていない・知識がないのは仕方ないと思っていませんか?日本は年金制度があるものの、その年金だけで老後を過ごせるかと言うと厳しい部分がありますよね。ということは、日本もアメリカと状況はあまり変わらないのです。

金融教育の実際

ではここで、日本とアメリカの金融教育について見ていきましょう。

全米の学生が読んでいるアンドリュー・O・スミスが書いた『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』では全14章のうち、投資に関する章はわずか1章だけなのです。その他の章では「バランスの取れた人生」「何のために働くか」など、日本では決して金融教育として分類されないような内容から、「お金とは何か」「消費税は何のためにあるか」「借金と返済計画」などが書かれています。

また、ベス・コブリナーが書いた『おカネの天才の育て方』においても、全14章のうち、投資に関する章は1章だけになっており、「貯金」「寄付」「アルバイト」など非常に幅広い情報が書かれています。米国では学生だけでなく、親もこのような本を読みながら、家庭での金融教育を進めています。

日本ではほとんど行われていなかった金融教育ですが、2022年度から生まれ変わります。高校生が家庭科の授業の中で「資産形成」について指導することが決まりました。これまで金融教育とは一切縁のなかった日本においては、非常に大きな一歩となるでしょう。

時代や立場によってお金の正解が変わる

お金の常識は時代によって変わっていたり、立場によっては正解でも、そうでない人にとってはとんでもなく損だったりすることがあります。金融の勉強をしていない私たちが自分にとって何が正しいのか判断するのは難しいです。

世の中にはテレビ番組で紹介されてるものもありますし、金融にまつわる本もたくさん出ています。しかもタイトルやキャッチコピーを見ただけで、「これ読んだら大丈夫かも」と感じてしまうように仕組まれています。これはまさに、売り手の情報に踊らされているのです。そんな売り手に左右されている典型的な例を2つご紹介します。

①医療費で家計が破綻?

「1日の入院で10日分の医療費がもらえます!」というような宣伝文句を聞いたことはありませんか?あまり長期の入院経験がなく、万が一に備えるとお得かも…と考えるかもしれませんが、単純に5〜10日の入院で家計が破綻するでしょうか。それで破綻するようでしたら、そもそも家計の組み方が間違っている可能性が高いです。基本的に日本は健康保険制度が非常に充実してるため持ち出し額は、保険が使える範囲であれば8〜10万円代で終わります。

数ヶ月の長期入院のような金銭的にダメージが大きいことに備えるのが保険の役目です。もちろん1日入院して10日分の医療費がもらえるのは嬉しいのですが、お金目的に加入するのは避けましょう。

②一部の情報だけで判断しないで!

よくあるのが、一部の情報だけを切り取って判断してしまうことです。例えば、住宅ローンの場合「ローンは長く」「頭金を入れず」「繰上げ返済をしない」というのが今の時代の正解です。ですが、「定年までに組みましょう」というような情報が流れているのも事実です。もちろんローンを短く組むことで総返済額は減りますが、家計を総合的にみると誤りなんです。

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『えっ!?私の常識はもう古い?』 住宅ローンの新常識

もう一つの例として、ライフプランを考えている際に「一般家庭では〇〇円必要です」などと聞きますよね。さて、その一般家庭とはどのような人たちのことを指しているのでしょうか。最初は妻も仕事をしていたけれど、結婚を機にパートになって、子どもが生まれてからは専業主婦で…のようにぴったり当てはまる人はそんなに多くはいないです。そういったところも含めて、とにかく耳にした情報が自分にとってどうなのかを見極める必要がありますね。

お金は汚くない!

あまり知られていないかもしれませんが、日本では「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、国民の投資を促す環境を整えています。10〜20年前に比べれば格段に改善されました。しかし、日本人のお金に対する価値観はほとんど変わっていません。

「お金は汚いもの」という古い価値観を捨て一人ひとりがお金と向き合いながら、老後に向けた貯蓄をしていきたいですね。お金の勉強をするならhaco life!

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