年末年始に見直したい、旧NISAからの払い出しと税金について

今年も残すところあとわずかとなりました。来る新年に向けて、何か新しいことを始めたい、老後の生活に備えたい、といった思いをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんなあなたに、年末年始に見直したい「NISA(少額投資非課税制度)」について、より詳しくご紹介します。特に、2023年までの旧NISAで投資していた方にとって、2024年末以降の商品の払い出しと、それに伴う税金について、具体的な事例を交えながら丁寧にご説明します。

また動画にもまとめてありますので、こちらも参考にしてください。



NISAとは?なぜ今、見直すべきなのか?

NISAは、株式や投資信託などの金融商品に投資した際に、一定の金額まで得られる利益が非課税になる制度です。2024年からは制度が大きく変わり、非課税期間が無期限になったり、投資枠が大幅に増えたりと、より魅力的な制度になりました。

年末年始にNISAを見直すメリットは、大きく分けて2つあります。

1.年間の投資枠を使い切る

年末になって投資枠が余っている場合、ボーナスなどを活用して計画的に投資枠を使い切ることで、最大限の非課税メリットを受けることができます。

2.来年の投資計画を立てる

年末年始にじっくりと時間を取って、来年の投資計画を立てることができます。どのような商品に投資するか、どのくらいの金額を投資するかなど、具体的な目標を設定することで、より効果的な資産形成が期待できます。

旧NISAからの商品払い出しと税金について

では、旧NISAからの商品払い出しと税金について詳しく解説していきましょう。

2023年までの旧NISAで投資していた方は、2024年末以降、保有していた商品が特定口座や一般口座に払い出されることになります。
払い出し後には利益が所得税の対象となるため、注意が必要です。

課税対象となるもの

非課税期間終了時点から値上がりした場合の売却益
払い出し後の売却益は、非課税期間終了時点の価格と比較して計算されます。

課税口座払出後に受け取った配当金・分配金
課税口座に移管された後は、通常の配当所得や分配所得として課税されます。

税金計算の注意点

平均取得価格:
複数回の購入がある場合、平均取得価格で計算されます。旧NISAからの払い出しで、平均取得価格が変化する可能性があります。

すでに特定口座や一般口座に同じ銘柄を保有している場合

投資信託の取得価格は、複数の購入を平均した「平均取得価格」で計算されます。そのため、旧NISAから払い出された商品と、すでに持っている同じ銘柄が合算され、平均取得価格が変わる可能性があります。

具体例

Aという投資信託を、
•旧NISA非課税期間終了時点で平均取得価格200円、100口保有
•特定口座で平均取得価格150円、100口保有
していたとします。旧NISAからの払い出し後、Aの平均取得価格は
(100口 × 200円 + 100口 × 150円) ÷ (100口 + 100口) = 175円
となります。

つまり、旧NISA非課税期間終了時点での基準価格が200円であった場合、100口売却しようとすると、
200円-175円=25円×100口=2,500円分
が利益として、課税されることになります。

非課税期間が終了する前に売却すれば、平均取得価格は合算されずに上記の税金は払わなくてすみます。
同じ投資信託を旧NISA口座でも課税口座でも保有しており、非課税期間が終了した旧NISA保有分を来年以降のNISA枠に充当したり、現金化して趣味や生活費に充てたりするつもりの方は注意が必要です。

旧NISAからの払い出し後の対策

旧NISAからの払出が迫っており、資金を効率的に活用したい場合、以下の対策が考えられます。

1.非課税期間中に売却

非課税期間中に売却し、今年の年間投資枠を使い切るか来年の年間投資枠に充てる

2.そのまま保有

NISAの投資枠をすでに使い切っていたり、来年以降の投資枠も活用方法が決まっていたりすれば、課税口座でそのまま保有する
どちらの方法を選ぶかは、ご自身の投資計画やリスク許容度によって異なりますのでしっかりと検討してみてください。

NISAを活用した資産形成のポイント

長期投資: NISAは、長期的な資産形成に適した制度です。短期的な売買ではなく、長期的な視点で投資を行うことが大切です。

分散投資: 複数の金融商品に分散投資することで、リスクを軽減することができます。

定期積立: 少額から始められる定期積立は、無理なく続けられる方法です。

専門家への相談: NISAの制度は複雑な部分もありますので、ご不明な点があれば、証券会社や金融機関の窓口、またはファイナンシャルプランナーにご相談ください。

まとめ

NISAは、少額から始められる非課税の投資制度で、年末年始は、NISAを見直す良い機会です。ご自身の状況に合わせて、ファイナンシャルプランナーにご相談いただきながら、資産形成について考え直す機会にしてみてはいかがでしょうか。

※ この記事の情報は2024/12/6時点の法令等に基づき作成しています。

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