退職金って何?どんな種類があるの?

転職や退職を考える際に、退職金がもらえるかどうかはその後の生活や計画を大きく左右する要素の一つですよね。
本コラムでは、そもそも退職金がどういったものなのか、どんな退職金制度があるのかについて説明していきます。

目次
1. 退職金とは
2. 退職金の種類
 2-1. 退職一時金制度
 2-2.退職金共済制度
 2-3.確定給付企業年金制度
 2-4.企業型確定拠出年金制度
3. まとめ

1. 退職金とは

退職金とは、企業から退職する際に支払われる金銭もしくは物品のことを指します。退職金と聞くと、「定年退職の際に老後資金として受け取るもの」というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、自己都合での退職や解雇による退職、死亡による退職など、定年退職以外でも退職金が支給されることがあります。

退職金制度は法律で義務付けられたものではないため、企業によっては退職金制度そのものが無いということもあり得るので、退職する際に必ず支給されるわけではないことを理解しておく必要があります。

また、退職金制度がある企業であっても、退職金の支給要件はそれぞれの就業規則によってそれぞれ定められているため、要件を満たしていない従業員に対しては退職金が支給されないので注意が必要です。

2. 退職金の種類

ここからは、実際に退職金制度として利用されることの多い代表的な制度について解説していきます。主な退職金制度の種類は、下記の4つに分かれています。

1.退職一時金
2.退職金共済
3.確定給付企業年金
4.企業型確定拠出年金

2-1. 退職一時金制度

退職一時金制度とは、その名の通り、従業員が退職する際に「一時金」という形で退職金を支給する制度です。退職金の額や支給時期などは、企業の就業規則によって定められており、退職者がその条件を満たす場合は、退職金の支払いが行われます。

ただし、退職一時金制度の場合は、企業側に事前に退職金を積み立てておく義務がなく、計画的に資金準備が行われていない場合、企業が倒産した際などに退職金が支払われないことがあります。

多くの場合、退職一時金支給額の算出方法は下記のいずれかの方法を採用しています。
・給与連動型
 給与連動型は、退職時点の基本給など一定の給与に対し、勤続年数や退職理由などから定めた支給率をかけ合わせて支給額を決定する方法です。企業によっては、退職時の役職が加味される場合もあります。
・退職金別テーブル型
 退職金別テーブル型は、退職時の役職や勤続年数、退職理由等に応じて退職金を算出する方法です。勤続年数ごとに設定された基準額に、退職時の役職と退職理由に応じた係数をかけ合わせて算出されます。
・勤続年数定額型
 勤続年数定額型は、勤続年数に応じて支給される金額が定まっていたり、その金額に係数をかけ合わせたりして支給額を決定する方法です。企業にとっても労働者にとっても、退職金の額が予想しやすいのが特徴です。
・ポイント累積型
 ポイント累積型は、勤続年数や退職時の役職、会社への貢献度などに応じたポイントをもとに、退職金を算出する方法です。職能や人事評価などの基準をもって従業員に付与されたポイントの総数に係数を掛け合わせた金額が支給されます。

2-2.退職金共済制度

退職金共済制度とは、共済の仕組みを利用して企業が外部機関に掛金を拠出し、外部機関から労働者に直接退職金を支払う仕組みのことです。退職金の管理は外部機関が行うため、万が一所属先の企業が倒産しても退職金を受け取ることができ、主に退職金制度がない中小企業が加入しています。

中小企業を対象とした中小企業退職金共済(中退共)制度、建設業など特定の業種を対象とした特定業種退職金共済制度、地方自治体や商工会議所などが運営主体である特定退職金共済(特退共)制度などが代表的です。
 
もっとも一般的なのは中退共制度で、加入できる企業は中小企業に限られ、掛金については一部国からの補助が受けられます。退職金を分割して年金として受け取ることも可能で、退職金の金額は、共済の加入年数などをもとに共済が算出します。

2-3.確定給付企業年金制度

確定給付企業年金制度とは、企業が外部の金融機関などで掛金を積み立て、従業員が退職した後に一定額を年金として支給する制度です。掛金は企業の全額負担が基本ですが、本人の合意があれば一定の範囲内で従業員が負担することもあります。

 確定給付企業年金には基金型と規約型の2種類がありますが、基金型は「加入人数の要件」や「厚生労働大臣の認可が必要」といった採用のハードルが高いため、中小企業のほとんどが規約型を採用しています。

 規約型とは、企業が外部の金融機関などと契約を結んで行うもので、企業はあらかじめこれらの外部機関に毎月掛金を払い込み、運用や管理を委託します。

たとえ運用実績が悪かったとしても、不足分は企業が穴埋めをするため、基本的に従業員が損をすることはないのが特徴です。

2-4.企業型確定拠出年金制度

確定拠出年金制度とは、企業が外部の金融機関などに掛金を拠出し、従業員が退職した後に掛金の運用成績に応じて年金が支給される制度で、掛金の運用方法は従業員側で選択します。運用成績によって金額が変動するため、受け取れる年金が掛金の総額よりも少なくなってしまう可能性があることに注意が必要です。

 また、この制度は年金の補完制度という意味合いが強く、60歳前に退職したとしても原則として60歳になるまで退職金が支給されません。

 なお、選択型やマッチング拠出という制度を導入すれば、企業の拠出以外にも従業員自身が任意で掛金を上乗せすることも可能です。
 
企業にとっては、一定の掛金を拠出しているだけで退職金制度を導入していることをアピールでき、運用成績が悪くても穴埋めをする必要がないことから、企業側のリスクを減らすことのできる制度として導入する企業が増えています。

企業型確定拠出年金に似た制度としてiDeCoもありますが、こちらは「個人型」の確定拠出年金制度です。企業型確定拠出年金とは違い、契約する金融機関は自分で選択し、掛金も基本的には全額自己負担となっています。

まとめ

ここまで見てきたように、退職金には複数の制度や受け取り方があります。退職金に関するルールは企業ごとに異なるので、自身の職場の退職金制度については、就業規則や賃金規程などを確認してみてください。
それぞれの退職金制度のメリット・デメリットを理解した上で、転職時の企業調査や退職後の人生設計に有効活用していきましょう。