贈与税の仕組みと計算方法

2024年(令和6年)の制度改正と、2026年(令和8年)の特例終了に対応しました。
この記事は国税庁タックスアンサーにもとづき、2026年9月時点の内容で書いています。おもな変更は次の2点です。
・相続時精算課税に年110万円の基礎控除が新設されました(令和6年1月1日以後の贈与)
・教育資金の一括贈与の非課税は、令和8年3月31日で終了しました

親族から多額の資産を譲り受けるかもしれない時や、子供の結婚資金を全額自分たちで用意してあげたいと思っている時など、多額の現金や資産の移動が起こりうる際に多くの方が心配することは贈与税についてではないでしょうか。本コラムでは、実際の贈与税額の計算方法や、贈与を受ける際の特例などについて説明していきます。

実際に具体的な金額を計算したい方は、計算ツールを公開していますのでお使いください。

 

1. 贈与税の概要

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。会社などの法人から財産をもらった場合は、贈与税ではなく所得税がかかります。また、自分自身が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合や、債務免除等により利益を受けた場合などは、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかります。ただし、死亡した人が自身を被保険者として保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合は、贈与税でなく相続税の対象となります。

2. 贈与税の種類

贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、要件を満たせば「相続時精算課税」を選択することができます。

2.1 暦年課税

贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残額に対してかかります。したがって、1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかからず、この場合贈与税の申告は不要となります。

税額の計算

暦年課税の贈与税額は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額を合計し、その合計額から基礎控除額110万円を差し引き、その残額に所定の税率を乗じて計算します。贈与税の税率は、以下の通り「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されています。

〔一般贈与財産〕

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% –
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円
出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

〔特例贈与財産(18歳以上の人が父母・祖父母などから受けた贈与)〕

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% –
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円
出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

2.2 「特例贈与財産」の税額計算

財産の贈与を受けた年の1月1日現在において18歳以上の人が直系尊属から贈与を受けた場合、この計算方法となります。

〔例〕贈与財産の価額が1000万円の場合(「特例税率」を使用)

課税額=贈与財産1000万円-基礎控除額110万円=890万円

贈与税額=課税額890万円×税率30%-控除額90万円=177万円

2.3 「一般贈与財産」の税額計算

特例贈与にあたらない贈与は一般贈与として、この計算方法となります。

〔例〕贈与財産の価額が1000万円の場合(「一般税率」を使用)

課税額=贈与財産1000万円-基礎控除額110万円=890万円

贈与税額=課税額890万円×税率40%-控除額125万円=231万円

2.4 「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」の両方の計算が必要な場合

18歳以上の人が、直系尊属と直系尊属以外から贈与を受けた場合などには、次のとおり計算します。

〔例〕一般贈与財産が300万円、特例贈与財産が700万円の場合の計算
 
①. すべての贈与財産を「一般贈与財産」として税額計算します

1000万円-110万円=890万円

890万円×40%-125万円=231万円
(上記の税額のうち、一般贈与財産に対応する税額の計算)

231万円×300万円/(300万円+700万円)=69.3万円…①

 
②. すべての贈与財産を「特例贈与財産」として税額計算します

1000万円-110万円=890万円

890万円×30%-90万円=177万円
(上記の税額のうち、特例贈与財産に対応する税額の計算)

177万円×700万円/(300万円+700万円)=123.9万円…②

 
③. 贈与税額を算出します

贈与税額 = ①一般贈与財産の税額 + ②特例贈与財産の税額

69.3万円+123.9万円=193.2万円

2.5 相続時精算課税

相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、18歳以上の子又は孫に対し財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。令和6年1月1日以後の贈与からは、この制度にも年110万円の基礎控除が設けられました。1年間に贈与を受けた額がこの基礎控除の範囲内であれば、贈与税はかからず、申告も不要です。
この制度を選択する場合には、最初に贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年以降全てこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額を加算して相続税額を計算します。加算するのは、贈与を受けた年ごとに基礎控除110万円を差し引いた残りの額です。このように、相続時精算課税の制度は、贈与税・相続税を通じた課税が行われる制度です。

税額の計算

相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。
その贈与税額は、贈与財産の価額の合計額から、まず相続時精算課税に係る基礎控除額110万円を差し引き、次に複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額2,500万円。前年以前において既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。
なお、相続時精算課税を選択した受贈者が、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた財産については、その贈与財産の価額の合計額から暦年課税の基礎控除額110万円を差し引いて贈与税額を計算します。

贈与税額=(1年間の贈与額 - 基礎控除110万円 - 特別控除の残額)× 20%

〔例〕相続時精算課税を選択している方が、1年間に1,000万円の贈与を受けた場合(特別控除はまだ使っていないものとします)

1,000万円 - 110万円 = 890万円
890万円 - 特別控除890万円(2,500万円の枠から使用)= 0円
贈与税額 = 0円(残る特別控除の枠は 2,500万円 - 890万円 = 1,610万円)

1年間に受けた贈与が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も必要ありません。なお、令和5年12月31日以前の贈与については、この基礎控除110万円はありません。

3. 贈与税に関わる各種特例

ここからは、贈与税に関わる各種の特例制度についていくつか簡単に紹介します。それぞれ細かい要件や対象が決められていますので、深く知りたい方は是非調べてみてください。

3.1 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できます。

3.2 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価にあてるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは非課税限度額までの金額について贈与税が非課税となります。
非課税限度額は、贈与を受けた人ごとに省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円です。

3.3 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

この特例は、令和8年(2026年)3月31日で終了しました。令和8年4月1日以後の贈与については、この特例を受けることはできません。ただし、令和8年3月31日までにこの特例の適用を受けた分については、引き続きこの特例が適用されます。

(参考・終了前の内容)平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に、30歳未満の方が教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき直系尊属から信託受益権を取得した場合などには、1,500万円までの金額について、教育資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となる制度でした。

3.4 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

平成27年4月1日から令和9年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の方が、結婚・子育て資金にあてるため、金融機関等との一定の契約に基づき受贈者の直系尊属から信託受益権を付与された場合、書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または書面による贈与により取得した金銭等で、証券会社等で有価証券を購入した場合には、信託受益権または金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。
なお、贈与を受けた年の前年の合計所得金額が1,000万円を超える方は、この制度を使えません。

4. まとめ

贈与税は、全く関わることの無い方も多い税金ですが、実際に贈与があった際に贈与税についての知識があるかないかでは、納める贈与税の額に大きな差が生まれる場合もあります。誰かに贈与をする予定の方も、誰かから贈与を受ける予定の方も、事前にしっかりと知識を付けておくことをおすすめします。

計算ツール

実際に具体的な金額を計算したい方は、計算ツールを公開していますのでお使いください。

※ この記事の情報は2026年9月9日時点の法令等にもとづきます。制度は改正されることがあります。

投稿者について

着物のファイナンシャルプランナー 尾山道郎
着物のファイナンシャルプランナー 尾山道郎
高校中退・元公務員・MENSA会員・着物のファイナンシャルプランナー。
1500名を超える圧倒的なコンサル経験と、理論に裏打ちされた「当たり前ではないアドバイス」を得意としている。