退職金にかかる税金は?手取りはどれくらい?

「退職金っていくらもらえるの?」これはよく考えるテーマでしょう。でも、「もらった退職金の手取りってどれくらい?」こっちは以外と考えないですよね。

退職金も当然もらった金額次第では税金がかかります。実際に自分の手元に残る金額はどれぐいらいなのか、考えてみましょう。


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退職金にかかる税金は所得税と住民税
退職時に受け取る退職金には、所得税と住民税がかかります。所得税や住民税は給料やボーナスからも引かれているため、比較的なじみのある税金かもしれませんが、退職金の場合は他の所得と所得税や住民税のかかり方が違います。

退職金における税金の計算方法
退職金は、一時金として一括で受け取る場合、所得税制上の優遇措置が設けられています。ここでは、退職金を一時金で受け取る場合にかかる所得税と住民税について、計算方法を説明します。

〔所得税の計算方法〕
退職金は所得を10種類に分類したうちの「退職所得」に該当し「分離課税」といって他の所得は合算せずこの部分だけで税額が決まるタイプの所得です。また、2037年までは通常の所得税に加えて復興特別所得税(所得税額の2.1%分を上乗せ)も納める必要があります。復興特別所得税は2011年に東日本大震災からの復興に必要な財源確保のために設定されています。

退職金にかかる所得税(復興特別所得税を含む)を計算するには、支給された退職金のうち、課税対象となる金額(課税退職所得金額)がいくらになるか計算する必要があります。
そのため、まずは退職所得控除の額を算出します。退職所得控除の金額は勤続年数によって決まり、勤続年数が長くなるほど控除額が大きくなる、つまり税金がかかる対象額が少なくなる仕組みとなっています。

退職所得控除を算出するための表はこうなっています。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数 (合計が80万円に満たない場合は80万円)
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 参照:国税庁

*勤続年数に1年未満の端数がある場合は端数を切り上げ年単位にします。

次に課税退職所得金額を計算します。退職金額から退職所得控除額を差し引いた残りの2分の1の金額です。

課税退職所得金額 =(退職金の額-退職所得控除額)×1/2

この課税退職所得金額に所定の所得税率を乗じ、控除額を差し引いて算出された金額が退職所得の税額です。

所得税額を算出するための表はこうなっています。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

 参照:国税庁

計算式で表すと次のようになります。

退職金の所得税額=(課税退職所得金額×所得税率-控除額)×102.1%

上記で算出した金額が、所得税(復興特別所得税を含む)として納付すべき税金です。

〔住民税の計算方法〕
退職金などの退職所得にかかる住民税は分離課税のため、他の所得とは区別して課税されます。
住民税の計算は、課税退職所得金額に住民税率を乗じて計算します。住民税率は、課税退職所得金額に関わらず、一律10%(都道府県民税4%、市区町村税6%)です。

住民税=課税退職所得金額×10%

計算の流れ
実際の計算の流れは
① 勤務年数から退職所得控除の額を計算
② 退職金の額から控除額を引き、課税対象額を計算
③ 課税対象額から所得税額を計算
④ 課税対象額から住民税額を計算
⑤ 退職金の額から所得税・住民税を引いて手取額を計算
となります。

退職金にかかる税額計算例
それでは、具体的な例で退職金にかかる税金額を実際に計算してみます。退職所得控除額と所得税の計算が異なる以下の2つのケースを例とします。

☆ケース1:勤続年数15年・退職金支給額1,000万円の場合
☆ケース2:勤続年数30年・退職金支給額2,500万円の場合

〔☆ケース1〕
・所得税(復興特別所得税を含む)の計算
勤続20年以下となるため、退職所得控除額の表に当てはめると以下のとおりです。

40万円×15年=600万円

次に、課税退職所得額を計算します。

(退職金の収入金額1,000万円-退職所得控除額600万円)×1/2=200万円

課税退職所得額および税率、控除額を算出できたら、所得税の算出表を使って税額を計算します。※端数切り捨て

(課税退職所得額200万円×税率10%-控除額9万7,500円)×102.1%=10万4,652円

この場合の所得税(復興特別所得税を含む)額は10万4,652円となります。-①

〔住民税の計算〕
課税退職所得金額は、所得税の場合と同じですので200万円です。これに住民税率10%を乗じて住民税額を計算します。

課税退職所得金額200万円×住民税率10%=20万円

この場合の住民税額は20万円です。-②

最後に、退職金の額から合計の税額を引いたら手取額が算出できます。

退職金額1,000万円-所得税&復興所得税10万4,652円-住民税20万円=969万5,348円

ということで勤続年数15年、退職金支給額1,000万円の場合、実際の手取り額は969万5,348円となることが分かりました。

〔☆ケース2〕
・所得税(復興特別所得税を含む)の計算
勤続年数は30年で20年を越えているため、退職所得控除額の表に当てはめると以下のとおりです。

800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円

次に、ケース1と同じ方法で課税退職所得額を計算します。

(退職金支給額2,500万円-退職所得控除額1,500万円)×1/2=500万円

課税退職所得額および税率、控除額を算出できたら、所得税の算出表を使って税額を計算します。※端数切り捨て

(課税退職所得額500万円×税率20%-控除額42万7,500円)×102.1%=58万4,522円

この場合の所得税(復興特別所得税を含む)額は10万4,652円となります。-③

〔住民税の計算〕
課税退職所得金額は、所得税の場合と同じですので500万円です。これに住民税率10%を乗じて住民税額を計算します。

課税退職所得金額500万円×住民税率10%=50万円

この場合の住民税額は50万円です。-④

最後に、退職金の額から合計の税額を引いたら手取額が算出できます。

退職金額2,500万円-所得税&復興所得税58万4,522円-住民税50万円=2,391万5,478円

ということで勤続年数30年、退職金支給額2,500万円の場合、実際の手取り額は2,391万5,478円となることが分かりました。


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退職金の受け取り方法「一時金型」or「年金型」
ここまでは退職金を一時金として受け取る場合の計算方法をお話ししてきました。ただし退職金は一括で受け取る方法だけでなく、年金として分割で受け取る方法もあります。企業によっては一括と分割のいずれかを選択したり、両方を組み合わせることも可能です。
注意しなければならないのは、年金として分割で受け取る場合、税金の計算方法が一括で受け取る場合と違うことです。
また在職中に死亡して遺族に死亡退職金が支払われることになる場合もありますが、このときも税金の掛かり方が異なるため、注意が必要です。

年金として分割で受け取る場合
退職金を年金として分割で受け取る場合、雑所得かつ総合課税として取り扱われます。
雑所得の金額は、原則として収入金額から必要経費を差し引いて計算しますが、公的年金等にかかる雑所得(退職金)については、収入金額から公的年金等控除額を差し引いて計算します。この控除額は、受給者の年齢や公的年金等の収入金額によって異なります。
また分割で受け取った退職金は分離課税ではなく総合課税となるため、他の所得と合算して課税されます。公的年金など他の所得がある場合には、それらとまとめて税額の算出が必要です。

遺族が死亡退職金を受け取る場合
在職中に死亡し、勤めていた会社から遺族が死亡退職金を支給された場合には、その金額は原則として相続税の対象になります。
ただし、一定の非課税枠があったり、支給確定時期によっては所得税の対象となったりと複雑なところがあります。
死亡退職金は相続税上、遺産とみなして相続税の対象となります。俗に言うみなし相続財産といわれるものです。
死亡退職金には専用の相続税の非課税枠(500万円✕法定相続人の数)が用意されています。

「一時金型」or「年金型」どっちがお得?
退職金の受け取り方を選択できる場合、一時金と年金のどちらがお得なのか。かかる税金だけでなく、それぞれのメリット・デメリットを考慮し、総合的に判断することが大切ですが、基本的には一時金として受け取り、多くの資金を投資で運用していくことを推奨します。

・一時金のメリット・・・資産運用に多額の資金を回すことができる
一時金で受け取ると、上記で計算したとおり税金の優遇措置があるため、手元に大きな資金が残ります。この資金をしっかりと運用していくことで、中長期的に使い続けられる資産を作ることができます。

・一時金のデメリット・・・浪費の可能性
大きな額のお金を手にすると、後先考えずに浪費してしまう可能性があります。老後生活に備えた資金管理に注意が必要です。

・分割のメリット・・・老後資金の早期枯渇を防げる
定期的に一定額を受け取るため計画的な管理がしやすくなります。

・分割のデメリット・・・課税対象期間が長い
分割の場合、1回あたりの受取額は一時金よりも少なくなるものの、受け取る期間は長くなるため、課税される期間も長期間です。一時金のような税金面での優遇措置がなく、公的年金や他の所得によっては、トータルで課税額が大きくなる可能性もあります。

まとめ
多くの方が、老後の生活を考える際にいくらくらいの退職金をもらえるのかを考えると思います。退職金には、所得税や復興特別所得税、住民税がかかりますが、退職金を一括で受け取るかと分割で受け取るかによって課税方法が変わり、当然税額も変わってきます。
これらの退職金に関する知識をしっかりと身につけ、実際の手取り額を想定し、理想の老後生活を送れるように今のうちから準備していきましょう。


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